かりんを仕込む。

秋の手仕事は、少し先の誰かを思う時間でもあります。

冬の自分や家族のために。
喉をいたわる一杯のために。
寒い日にほっとする香りのために。

少し先の楽しみを仕込むことも、
秋ならではの豊かさなのかもしれません。

香りを楽しむ、
秋の実り。

つややかな黄色に色づいたかりんは、秋の終わりを知らせる果実のひとつ。

見た目はりんごのようですが、そのままでは硬く、渋みもあるため、昔からシロップやはちみつ漬け、果実酒などに仕立てて楽しまれてきました。

包丁を入れると、ふわりと広がる甘く爽やかな香り。
瓶に詰めて、少しずつ変化していくのを待つ時間まで含めて、
かりんは「仕込んで楽しむ果実」といえるのかもしれません。

秋の台所に立ち、冬の訪れを思いながら手を動かす。
そんな季節の手仕事に、かりんはよく似合います。

甘い香りを、瓶の中に。

かりんの手仕事で、まずはじめたいのがシロップづくり。

切ったかりんと氷砂糖を瓶に重ねたら、あとはゆっくり待つだけ。たったそれだけのことなのに、台所には甘く爽やかな香りが広がります。


〈用意するもの〉
◾️かりん・・・お好みの量
◾️氷砂糖・・・かりんと同量
◾️保存瓶

  • 【Step1】

    かりんは水でよく洗い、表面の産毛や汚れを落とし、水気をしっかり拭き取ります。
    かりんを1cmくらいの輪切りにします。その際、瓶に入らない場合は半分にカットしてください。
    かりんはとても固いので、手を切らないように注意しましょう。

  • 【Step2】

    消毒した保存瓶に氷砂糖と交互に入れます。
    最後は氷砂糖で覆うようにすると、かりんの切り口が空気に直接触れにくくなるため、安心です。

  • 【Step3】

    直射日光の当たらない涼しい場所で保存します。
    1日1回ほど瓶を軽く揺すり、氷砂糖をなじませます。かりんから水分がしっかり出て、氷砂糖がほぼ溶け切り、果実がシロップに浸かったら完成。
    かりんは取り出し、シロップは冷蔵庫で保存します。

かりんシロップの 楽しみ方

かりんシロップができあがったら、その日の気分や季節に合わせて楽しんでみましょう。

寒い朝には、お湯で割って湯気とともに立ちのぼるやさしい香りを味わう「かりん湯」に。喉をいたわりたい日や、ほっとひと息つきたい夜にもぴったりです。

少し汗ばむような秋の日には、炭酸水で割って爽やかな一杯に。甘酸っぱい香りが広がり、気分まで軽やかにしてくれます。紅茶にひとさじ加えれば、いつものティータイムが少し特別な時間に。ヨーグルトにかければ、朝食やおやつにも季節の彩りを添えてくれます。

くらしさのヒトコト

瓶の中で少しずつシロップが増えていく様子は、季節が深まっていくのを眺めるようなもの。
「もう飲めるかな」と待ちながら、ときどき瓶をのぞく時間も、かりんの手仕事の楽しみです。

昔我が家の庭にはかりんの木がありました。一緒に住んでいた祖母がかりんを煮て、風邪を引くとそれを食べていた思い出があります。